かしこくたのしく

20代 横浜市民 男性の日常と独り言

【沖縄旅行記】計画どおりにいかないほうが楽しいって本当だった

沖縄に行くのは高校の修学旅行ぶりだった。

あの頃は野郎だけでバカばっかりやっていて、観光らしい観光の記憶はほとんどない。ただ「髭を剃った直後の海水は染みる」みたいな断片的な印象が残っているだけだ。そんな僕が再び沖縄の地を踏んだのは、付き合っている彼女との2人旅。しかも彼女にとっては人生初の沖縄旅行だった。平日に3泊4日、レンタカーで各地を回る旅だったが、ふたを開けてみれば予想外の連続。それでも、もしくはそれだからこそ、記憶に残る旅になったと思う。

今回は、そんな「計画通りにはいかないけれど、悪くなかった」沖縄旅行を、5つの章に分けて記しておきたい。実際に予定を立てていた前回の続きである。

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目次

 

 

 


第一章:華々しいスタートのはずが、ホテルで静養の一日へ

那覇空港に到着したのは、昼過ぎのこと。梅雨入り前の晴れ間に恵まれ、湿度はやや高めだったが、空の青さに「沖縄に来たな」と気分が上がった。

そこまでは、完璧なスタートだった。

しかし、空港からレンタカーでホテルへ向かう道中、彼女の顔色が徐々に悪くなっていった。聞けば、着陸後から少し吐き気がして、身体が熱っぽいとのこと。ホテルに着いて体温を測ってみると、まさかの38度超え。まさに、初日から予定がすべて白紙になった瞬間だった。

ただ、幸いだったのは宿泊先の「ノボテル沖縄那覇」にラウンジサービスがあったことだ。軽食やソフトドリンク、ちょっとしたスイーツまで自由に楽しめる空間で、部屋にこもらなくても気分転換ができたのは大きかった。僕は看病の合間にラウンジでコーヒーを飲んだり、ホテルの中をぶらぶら歩いたりしながら過ごした。

旅の初日が潰れるのは残念ではあったが、焦ることもなく「こういう日もある」と思えたのは、予定を詰め込みすぎていなかったからかもしれない。

宿泊先のノボテル沖縄那覇の部屋。
那覇中心部とは思えない静けさに包まれたホテルだった。

第二章:奇跡の回復、美ら海へ走る

翌朝、少し心配しながら彼女を起こすと、第一声が「おなかすいた」。

体温を測ると、見事なまでの平熱。昨日の発熱が嘘だったかのような回復ぶりに、こちらが戸惑ったほどだった。

食欲もあるし、顔色も問題ない。というわけで、彼女が「絶対に行きたい」と言っていた美ら海水族館へ向かうことにした。片道約2時間。少し遠いが、道中の景色も旅の一部だと思えば、あっという間だった。

水族館では、まず巨大なジンベエザメに目を奪われた。何度見ても、そのスケール感は圧倒的だ。泳ぐというより、浮遊しているような悠々とした動きに、時間を忘れて見入ってしまう。そして、彼女が特に気に入っていたのがマナティー。「ずっと見ていられる」と言いながら、10分以上も水槽の前で動かずに眺めていた。

圧巻のジンベエザメ。水槽のスケールも泳ぐ姿も想像以上だった。

やはり、美ら海水族館は王道の観光地であることに違いない。しかし、行く価値は間違いなくある。沖縄の海の豊かさ、生命の神秘、そして「思っていたより楽しかった」という驚きが、確かにそこにはあった。

 


第三章:雨に閉ざされた日、静かに考える時間

3日目は朝から雨。天気予報でも雨とは聞いていたが、まさかここまでしっかり降るとは思っていなかった。ビーチは諦め、屋内で楽しめる場所を選ぶことにした。

そこで向かったのが「旧海軍司令壕」だった。那覇市内にある戦争遺構で、実際の悲劇の場となった壕の中を実際に歩くことができる。観光地というよりも、学びと記憶の場所である。

重たい空気の中に静かに佇む旧海軍司令壕。戦争の記憶が残る場所だった。

壕の中はひんやりとしていて、湿気がある。階段を降りると空気が変わり、照明の少なさが空間の緊張感を高めていた。当時の指令室や自決の間がそのまま残されており、ただ「見る」というより「感じる」場所だった。戦争の歴史に触れるというのは、いつも胸がざらつく。でも、雨の日だからこそ向き合うことができた気もする。観光ではなく「記憶をたどる」体験は、沖縄という場所のもう一つの顔を教えてくれた。

夜は雨がやみ、近くの居酒屋で乾杯。なかま商店。

夜には雨がやみ、近くの居酒屋で沖縄料理などを堪能した。気になっていた「なかま商店」どれも美味しくて価格も安い、冷えたビールを飲みながらゆっくりと旅の「ズレ」について笑って話すことができた。まったり飲み食いしても2人で3,000円もしなかったのは驚愕だった。

 


第四章:短い朝と、再建中の首里城

最終日、飛行機は12時発。レンタカーの返却もあるため、朝から観光できるのは実質2〜3時間程度だった。そこで選んだのは、ホテルから車で10分ほどの場所にある「首里城」だった。

僕にとっては高校の修学旅行ぶり。あのときはほとんど何も覚えていなかったが、今回の訪問で驚いたのは、再建工事の真っ最中だったこと。2019年の火災で焼失したと知ってはいたが、実際に足場が組まれた現場を目にすると、あの壮麗な姿がまだ戻ってきていないことを実感する。

復元工事中の首里城。足場の奥に、かつての荘厳な姿を想像する。

それでも、現地の解説や展示を見ていると、復元に向けた強い思いが伝わってきた。「文化を守る」という行為は、想像以上に大変で、しかし希望に満ちた営みでもあるのだと感じた。

帰り道、空港へ向かう車内は少しだけ静かだった。横浜に戻れば、また日常が始まる。でも、どこかで「もう一度来たい」と思える場所があるというのは、幸せなことだと思う。

 


第五章:情報と現実、そのギャップすら旅の一部

この旅を振り返ると、最初から最後まで「予定外」の連続だった。彼女の発熱、美ら海の混雑、雨、そして観光できる時間の短さ。事前に調べていた情報も多かったし、行きたい場所もリストアップしていた。それでも、完璧な計画通りに進む旅など、存在しないのだと思い知らされた。

大切なのは、そのときに「どう動くか」。臨機応変に予定を変える柔軟さと、何が起きても楽しめる心構え。今回の旅行では、その両方を実感した。そして、そうした予定外こそが、後から振り返ったときに「いい思い出」になるのだとわかった。

旅は情報と現実の間で生まれるものだ。すべてを把握しても、不測の事態は必ず起こる。けれど、それをネガティブに捉えるのではなく、自分たちで意味づけし、前向きに変えていくことが、旅の醍醐味だと思う。

次に沖縄を訪れるときには、首里城の完成を見届けることが一つの目的になるだろう。そしてきっとまた、予定通りにいかない何かに出会うだろう。それを楽しみにしている自分がいる。

旅の終わり、空港で食べたタコス。次はどんな旅になるだろうか。

 

以上が、僕たちの3泊4日沖縄旅行の記録である。もしこれから沖縄へ行く人がいたら、ぜひ「想定外を楽しむ余白」を持って旅してみてほしい。