かしこくたのしく

20代 横浜市民 男性の日常と独り言

【お題】絵本と追憶

今週のお題「絵本」

ぐりとぐら』と『シロクマちゃんのホットケーキ』。この二冊の絵本は、僕の幼少期を彩った中でも特に心に残っているものだ。子どもの頃、寝る前に母が何度も読んでくれて、内容をほとんど覚えるくらい好きだった記憶がある。

ぐりとぐら』は、ふたりが森で大きな卵を見つけてホットケーキを作る話だ。あの絵本を開くと、ページいっぱいに広がる黄色くてふわふわのホットケーキが真っ先に思い浮かぶ。美味しそうというより、「こんなの本当に作れるの?」とワクワクしながら眺めていた。小さな頃の僕にとって、あのホットケーキはちょっとした夢みたいな存在だったと思う。

一方で『シロクマちゃんのホットケーキ』は、もっとリアルで、家庭の匂いがする絵本だった。材料を混ぜて、焼く過程が丁寧に描かれているのを見て、「僕も作れる!」と勢いだけで母に頼んだ。まあ大半は母が作ってくれたと思うが、初めて一緒に焼いたホットケーキは、自分が関わった分だけ美味しく感じたのを覚えている。大人になった今、ホットケーキなんて最近は自分では全然作らなくなった。それでも、あの絵本を思い返すと、なんだかほっこりする。

子どもの頃は絵本をただ楽しんでいただけだったけど、大人になって振り返ると、そこにあったのは親の優しさや、家の中に漂っていたあたたかさみたいなものだったのかもしれない。ぐりとぐらのホットケーキも、シロクマちゃんのホットケーキも、ただの料理じゃなくて、誰かと一緒に過ごす時間を象徴するものかもしれないな、と今になって考える。

またいつか、気が向いたらホットケーキでも焼いてみようかな。シロクマちゃんみたいに「ぷつぷつ、ふつふつ」なんて言いながら、あの頃の気持ちに少しだけ戻れたらいいなと思う。